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開発ヒストリー

HISTORY 01 スムーズフローポンプ Qシリーズ 新たな扉を開き、タクミナの“スムーズフロー”を広めるために。

タクミナだけの技術『エア抜き機構』で、
現場を悩ませるガスロック問題を解決へ。

清水「CLPWシリーズは、次亜塩素酸を注入する殺菌用ポンプです。浄水場や銭湯、プールなど、水に関係する分野を支えています。」

中村「タクミナの創業からの主軸となる分野で、“土台”となる部分ですね。」

清水「そうですね。タクミナは水の安全を守るというところから始まった会社なので、この市場においては自信を持っています。ただ水道水・プール・浴場・食品工場など、幅広い用途の殺菌剤として使われる次亜塩素酸ナトリウムは非常に分解しやすい薬剤で、温度が上昇したり、長期置いておくとガスが発生してしまうんですね。そのガスがポンプ内に溜まっていってしまうと、『ガスロックによる吐出不良』が起こって、殺菌剤が正しく注入できなくなることがあるんです。」

足立「この問題は、次亜塩素酸をポンプで注入して殺菌を行うようになった頃からある、数十年来の問題です。その注入不良をなくすことで、お客様の役に立ちたいという想いから、CLPWの開発が始まりました。」

清水「ガスロックは特に夏場に起こりやすい現象で、これによって塩素が注入されないと水が汚いままになるんです。要するに安全ではないということになってしまいます。食品や水に関わる分野は人の健康に直結する部分ですから、お客様からもかなりシビアなご意見を頂いていました。それに、この注入不良を解消するためには、エア抜きという作業が必要で、お客様の大きな負担にもなっていたんです。他社メーカーさんもいろんな工夫をされてきましたし、私たちも前機種までのポンプでさまざまな取り組みを行ってきたんですが、完全な解決には至らず、お客様も『仕方がない』と諦めていたような状態でした。」

中村「そんな中でタクミナが開発したのが、全く新しい発想の『エア抜き機構』なんです。これを搭載することで、これまでどうしても避けられないと思われていたガスロックをほぼ100%解決へ導いたんです。」

“踏み出す勇気と強い信念”がCLPWを生んだ。

足立「ガスロックを解消する仕組みの開発は、本当に苦労しましたね。いろいろと試行錯誤する中で転機になったのが、原点に立ち返り、先輩に“ガスロックの仕組み”を聞いたことでした。ガスロックの原因は、ポンプ室と注入先の圧力差なんですね。ガスロックの仕組みを理解すれば、この「圧力差」を解決すればいいということは誰でも容易に想像できますが、それを形にするには定量ポンプの常識を覆す必要がありました。これを解決するために弁座部の設計を一から徹底的に見直しました。」

清水「実績のある、まして製品の要となる部品の設計を変更するのは、かなり勇気がいることだと思います。現場で何か起こると、今まで築いてきた信頼が一気に崩れるリスクもありますから。」

中村「そうなんです。なので、設計・試作に加え、社内評価にかなりの時間を費やしました。エアがしっかり抜けるということと精度を両立でき、試作機で実際に自分たちの目でそれを確認した時は、『正直、これはイケるぞ!』と確信しました。」

足立足立「製品として形になるまでかなり苦労しましたが、私もお客様の期待に応えるために必死に頑張りました。こういう思い切ったチャレンジをさせてもらえるのがタクミナの素晴らしいところであり、数十年来誰も成し得なかったことを達成した時の喜びは開発者にとってはこの上ない経験です。」

中村「そしてこの開発で、CLPWは生産本部長賞を受賞したんですよね。」

お客様の要望を反映、喜びの声が続々届く製品に。

清水「発売にあたって、まずはデモ機を作りました。そして7~9月の夏季に、ガスロックで悩む企業様向けの貸し出しキャンペーンを行ったんです。タクミナとしては新しい試みでした。その結果、精度も良くて、なおかつガスロックの解消を実現して、お客様から喜びの声をいただくことができました。そうしてやっと販売に漕ぎつけたんです。」

中村「ガスロックはお客様にとっても大きな悩みだったので、とても喜ばれましたよね。」

清水「そうですね。例えば、山間部の水道設備をされているお客様は、施設までのアクセスが悪く、遠方の施設まで定期的にガスロックチェックに向かうのが大きな負担だったそうです。けれど、ガスロックが解消されたCLPWのおかげで『チェックに行く手間がなくなった!』と大変喜んでいただきました。」

中村「エア抜き機構はもちろんですが、CLPWの洗練されたデザインも気に入っています。この中にも色々と改良がなされているんですよ。」

清水「そうですよね。見やすい画面で、流量も確認しやすいですからね。」

足立「このポンプシリーズは暗い場所で使われることも多く、視認性も追求しました。また、機能性・操作性・安全性をとことんまで追求し、小さなボディに詰め込みました。」

清水「異常圧になると、自動で警報を出すといった安全機能も搭載しています。先ほども言いましたが、水はライフラインの基盤となるので安全面には気を配っていて、この小さい製品の中にこだわりが凝縮されています。こうしてお客様の声を反映させて、リニューアルのたびに新たな機能を盛り込み続けているんです。」